日本の年金制度(年金法)― 外国人向け完全ガイド【最新版】
2026/02/09
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年金(年金制度)は、日本における公的な老後保障制度であり、日本で生活・就学・就労するすべての人を対象としています。これは日本人に限らず、日本に合法的に在留する外国人も例外ではありません。

しかし実際には、留学生、技能実習生、特定技能(Tokutei)労働者、長年日本で働いている外国人であっても、年金制度を正しく理解できていないケースが多く、不安や誤解から年金を避けてしまったり、知らないうちに法的義務に違反してしまうことも少なくありません。

本記事では、**日本の年金制度(年金法)**について、年金とは何か、誰が加入義務の対象となるのか、保険料はいくらかかるのか、加入によるメリット、免除・減額制度、老齢年金の受給条件、帰国時の年金返金(脱退一時金)、そして外国人が特に注意すべき重要ポイントまで、網羅的に解説します。


年金とは?なぜ日本では年金加入が義務なのか



年金制度(年金法)とは、日本政府が運営する公的な社会保障制度の一つであり、老後の生活を支えるだけでなく、病気や事故によって障害が残った場合、あるいは加入者が死亡した場合にも給付が行われる重要な制度です。

日本の法律では、20歳以上59歳以下で、日本に住所(住民票)を有するすべての人は、国籍を問わず年金に加入する義務があります。 つまり、外国人であっても、日本に中長期で在留している限り、原則として年金制度の対象となります。

日本政府は、年金を単なる「老後のための貯蓄」ではなく、社会全体で支え合う社会保障制度として位置づけています。そのため、就労中だけでなく、万が一のリスクに備えるセーフティネットとしても重要な役割を果たしています。


日本の年金制度の種類



日本の年金制度は、働き方や収入状況に応じて、大きく次の2種類に分かれています。

国民年金(こくみんねんきん)

国民年金は、会社などに所属せずに生活している人を対象とした年金制度です。主な対象者は以下のとおりです。

  • 留学生
  • 技能実習生
  • フリーランス・個人事業主
  • パート・アルバイト中心の就労者
  • 無職・求職中の人

国民年金の保険料は年度ごとに定められた定額制で、加入者本人が毎月自分で納付する必要があります。

厚生年金(こうせいねんきん)

厚生年金は、日本の企業や法人に雇用されて働く人を対象とした年金制度です。厚生年金に加入すると、以下の特徴があります。

  • 会社が加入手続きを行う
  • 毎月の給与から自動的に天引きされる
  • 保険料は原則として会社と本人が50%ずつ負担

なお、厚生年金には国民年金が含まれているため、会社員として厚生年金に加入している場合、別途国民年金を納付する必要はありません。


年金加入が義務となる対象者



日本の年金法により、次のような人は年金加入が義務とされています。

  • 20歳以上59歳以下で日本に在留している人
  • 在留カードを持つ留学生
  • 技能実習生
  • 特定技能(Tokutei)労働者
  • 会社員、技術者、エンジニア

国籍や将来の定住予定に関係なく、日本に在留している限り、原則として年金制度への加入が求められます。


年金保険料はいくらかかるのか



年金保険料の金額は、加入する年金の種類によって異なります。

国民年金の場合、保険料は毎月定額で設定されており、金額は年度ごとに見直されます。納付は本人が行い、未納が続くと督促や追納の対象となります。

厚生年金の場合、保険料は毎月の給与額を基準に計算されます。収入が高いほど保険料は高くなりますが、その分、将来受け取れる年金額も増える仕組みです。


年金に加入することで受けられる主な給付



「日本に長く住まないから年金は意味がない」と考える外国人もいますが、実際には短期間の在留であっても年金には重要なメリットがあります。

老齢年金

一定期間以上年金を納付していれば、65歳以降に老齢年金を受給することができます。受給資格を満たしていれば、日本国外に居住していても受け取ることが可能です。

障害年金

病気や事故によって生活や就労に大きな支障が出た場合、障害年金が支給されることがあります。

遺族年金

年金加入者が死亡した場合、配偶者や家族が遺族年金を受け取れる制度も設けられています。


年金の免除・減額制度について



年金法では、経済的に保険料の納付が困難な人のために、保険料の免除・減額制度が用意されています。

主な対象は以下のとおりです。

  • 収入が少ない留学生
  • 失業中の人
  • 一時的に生活が困難な状況にある人

ただし、免除や減額は自動的に適用されるものではなく、本人による申請が必要です。審査の結果、全額免除や一部免除が認められる場合があります。


年金を納付しないとどうなるのか



「年金を払わなくても問題ないのでは」と考える人もいますが、結論として、年金の未納は大きなリスクを伴います。

年金を納付しない場合、以下のような影響があります。

  • 未納分の追納請求
  • 延滞金や督促状の送付
  • 在留資格更新時の評価低下
  • 永住権申請で不利になる可能性

近年、日本政府は外国人の社会保険未加入・未納に対する管理を一層厳格化しています。


帰国時に受け取れる脱退一時金(年金の返金)



日本国籍を持たない外国人が、日本で老齢年金を受給しないまま帰国する場合、条件を満たせば脱退一時金として、これまで納付した年金の一部を受け取ることができます。

脱退一時金の主な条件

  • 日本を出国していること
  • 日本国籍を有していないこと
  • 老齢年金の受給資格を満たしていないこと
  • 所定の期限内に申請すること

受給金額について

受け取れる金額は、以下の要素によって決まります。

  • 年金の加入期間
  • 給与額(厚生年金の場合)
  • 申請時点の法制度

一般的に、加入期間が長く、収入が高いほど、受給できる金額も大きくなる傾向があります。


年金と在留資格(特定技能・技術人文知識国際業務・永住)との関係


年金の納付状況は、以下のような在留手続きにおいて重要な判断材料となります。

  • 特定技能ビザの更新
  • 技術・人文知識・国際業務ビザへの変更
  • 永住権の申請

年金を適切に納付していることは、日本で安定した生活基盤を築いている証拠とみなされ、審査において有利に評価されます。


年金に関するよくある誤解



「年金は払っても戻ってこない」「外国人には関係ない」といった誤解は非常に多く見られます。しかし、年金は法律で定められた義務であると同時に、将来や万が一に備える重要な権利でもあります。

制度を正しく理解しないまま未納を続けると、金銭面だけでなく、在留資格や将来設計にも大きな影響を及ぼす可能性があります。



日本の年金制度(年金法)は、一見複雑に感じられますが、仕組みと目的を理解すれば決して難しい制度ではありません。外国人にとっても、年金は単なる義務ではなく、日本で安心して生活するための重要な社会保障制度です。

留学生、技能実習生、特定技能労働者、会社員など、どの立場であっても、日本に在留する以上、年金制度を正しく理解し、自身の状況に合った対応を行うことが、将来のリスク回避につながります。